人と文化と自然の交差点

なぜ私たちの目の前にある文化が文化足らしめられているのか、考えていきます。

【国際協力】日本の教育協力の動向

日本のODAは、2国間贈与(無償資金協力と技術協力)、2国間貸与(有償資金協力)、国際機関への拠出金等から構成されています。

2018年度事業規模は、有償資金協力が1兆2661億円、技術協力が1901億円、無償資金協力が985億円です。

 

 

ODAの中で教育協力に関係するのは、無償資金協力と技術協力が中心。

ただし、円借款によって校舎が建てられることもあります。

 

2019年のJICA年次報告書によると、教育分野(人的資本)に分類されるのは無償資金の11.5%(113億円)で2番目に多く、技術は11.1%(210億円)で2番目に多いです。

 

無償は返済義務のない資金贈与のことで、特に開発の遅れた国を対象としています。無償の対象は、収益性が低く、借款で対応することが困難な分野(初等・中等教育、医療保健衛生、水、農村開発等の基礎生活分野(BHN)、環境・人づくりなど)。

 

無償のうち、教育分野が多いのが、一般プロジェクト、草の根、文化無償と呼ばれるもの。

無償のうち、一般プロジェクトが50%ほど占めており、教育などBHNが対象だ。機材や建物などが対象に。施設案件は1件あたり10-20億円。「箱物」案件と呼ばれてきました。

一方、草の根無償は、一般プロジェクト無償で対応できなかった途上国等からの要請に対して、在外公館を通して対応するもの。1件あたり100万円以下から数百万円まで。89年度から開始し、現地のニーズに合わせて細かく対応できるのが特徴。

文化無償とは、文化交流のため75年度から始まり、教育・研究の振興などのための資機材の購入のための資金援助。1件あたり5000万円以内。

 

技術協力では、専門家の派遣、協力隊、機材供与等が含まれます。協力隊のうち教育分野は多く、特に初・中学校や職業学校で教員として派遣されるケースが多いです。研修生受け入れでは職業訓練分野が多くなっています。

 

近年盛んな初等・中等、理数科教育などは、協力隊や草の根が多いといいます。

 

地域別に見ますと、

カンボジアでは、技術協力では

  • 教員養成大学設立のための基礎構築プロジェクト(2022年まで5年間)
  • 産業界のニーズに応えるための職業訓練の質向上プロジェクト(2020年まで5年間)
  • 理数科教育改善計画プロジェクト(2012年まで4年間)
  • 高校理数科教育教科書策定支援プロジェクト(2008年まで3年間)

があります。

 

ネパールの技術協力では

  • 教育の質向上プロジェクト(2024年まで5年間)
  • 小学校運営改善支援プロジェクト(2008-2011, 2013-2016年まで計6年間)
  • 子どものためのコミュニティ主体型ノンフォーマル教育プロジェクト(2009年まで5年間)

があります。

 

ちなみに、日本の教育の歴史を振り返りますと、

初等教育就学率は1875年に35.2%でしたが、1905年には95.6%になり、ほぼ全国的に普及しました。

戦後の学制改革によって小学校6年、中学校3年が義務教育になりました。

 

 

 

参考文献

JICA (2019) JICA年次報告書.

JICA (n.d). 事業ごとの取り組み:技術協力. https://www.jica.go.jp/project/subject/education/index.html

内海成治 (2001). 国際教育協力論. 世界思想社