【国際協力】なぜJICAがネパールで学校運営改善?
JICAは、ネパールで、2008年から2011年まで、小学校運営改善プロジェクトを行いました。フェーズ2は2013年から2016年まで行われました。
なぜそれが必要で、どのような効果があったのか見てみましょう。
背景:
- 2008年当時、小学校1年生の半分が1年生修了時点で留年、中退していました。
- 要因として、教員の質の低さや学校施設の不足だけでなく、貧困、親の教育に対する意識の低さ、少数民族やカーストの問題もある。
- これらの課題克服のためには、教育行政を地方分権化し、学校に権限を与え、地域住民が地域のニーズに基づき学校を運営することが必要。理由は、限られた予算を有効活用するために住民のニーズを把握し財源の配分に優先順位をつけ、効率的に配分・執行することが不可欠であるから。
- 特に、地域ごとの民族構成、女子教育に対する考え方、住民の経済的状況等に差異があるため、地域の実状に見合った解決策が必要であり、地域のニーズを反映した住民参加による学校運営が重要とされた。
- ネパール教育・スポーツ省は、教育行政の地方分権化および住民参加による学校運営を重要戦略と位置付けた
- 各学校において地域住民により組織された学校運営委員会(SMC)により、学校改善計画(SIP)を策定、SIPに基づき学校を運営する制度を導入。
- しかし現実は、SMCメンバーや校長・教員らの能力が十分でないために制度が機能していない。また、財源も必要だが、人員や能力不足により、地域の教育データや教育計画に基づく予算配分が行われておらず、教育予算が確保できない状況。
- 能力が追いつかないまま地方分権化されたことで、学校間、地位間の格差が生まれており、就学率中退率等改善の阻害要因になっている。
プロジェクト名:
SISM
2郡をパイロット郡に
プロジェクト目標:
上位目標:初等教育の就学率中退率改善
プロジェクト目標:政府支援と住民参加により学校運営が改善される。
プロジェクト内容:
2郡内の600校のSMCやPTAを対象にワークショップ
住民参加でSIPを作成
プロジェクト効果:
教員の欠勤、生徒の欠席減少、教育環境の向上
フェーズ2では、全国75郡の基礎教育(公教育の第1−8学年)が対象に。
教育の質の改善に注目。留年率と中退率。
プロジェクト目標は、SIPの策定を通じ、基礎教育のアクセス・質の改善に向けた学校運営
参考文献: